移動祝祭日

勘弁してくれ.com

12日目・13日目・14日目

        12日目

  月曜日。ロシア語には「Понедельник — день тяжелый. 」(月曜日は重たい日)ということわざがある。つまり「月曜日は憂鬱だね」ということなんだけれど、今週の月曜日はそんなに重たくなかった。生活のリズムがつかめてきたのかな、日本でもつかめていないというのに。わはは。授業ではロシアの著名人についてのテキストを読んだ。途中でシャラポワになりきってロシア語のインタビューに答えるという遊びがあって面白かった。「好きな日本食は餃子です。ペリメニに似ているから」「テニス、それは人生」

  毎週水曜日が課題研究にあてられていて授業がないので、毎週火曜日はお酒を飲むことになったらしい。その買い出しにスーパーへ行って、自分用にカップラーメンやじゃがいものピューレを買って帰った。こちらに来てから晩ごはんはカップラーメンがめちゃくちゃ多い。50円ぐらいで味の薄いものが買えるのでそれに日本から持ってきた醤油をたらして食べる。こんなに楽でそこそこ美味しくて安かったらそりゃ全世界で売れまくるわなという感じ。寮と聞いていたので自炊する気満々で調理器具も何かと持ってきたのに蓋を開けてみたらホテル泊でなすすべがない。規則正しい生活とプラマイちょっとマイという感じです。それと関係あるのかわからないけれどついにめちゃくちゃに体調を崩した。喉と鼻と頭と関節がおかしい。ウウウ

 

  13日目

  火曜日。体調は悪化しているような良くなったような。2枚のマスクに濡れティッシュを挟んで寝たので喉はかなりマシになった。ロシアでは外でマスクをしてると変態と思われるらしい。ひえ

  授業ではロシアの芸術について。こちらの人々はかなり芸術に関する素養を持っている。ロシアの文学者、画家、作曲家、詩人についてきちんと学校でやるのだそうだ。またいつものパターンで「日本で有名な日本画家は?」に困ってしまった。わたしは東山魁夷のことを教科書で読んでかなり好きですが誰も知らなかった、雪舟国芳ということで落ち着きました。

  名前の由来のことも聞かれた。漢字そのものに意味があってそれを組み合わせて願いや意味を込めて名前をつけるなんてかなり独特な文化だと言っていて驚いた。わたしの名前はかなりオーソドックスな響きに漢文からとった大仰な意味があるので説明にだいぶ困った。頑張りました。

  授業の後はメトロに乗ってトレチャコフ美術館へ。ロシアには多分世界的に有名な美術館が2つあって、ひとつはエルミタージュ美術館  もうひとつがトレチャコフ美術館だ。エルミタージュはサンクトペテルブルクにあり、ロシアの皇帝がヨーロッパ各地から集めた絵画や彫刻が展示されている。(余談だけれどサンクトペテルブルクはかつてのロシアの首都で、だからモスクワとは大阪と東京みたいな関係なんだそうだ) トレチャコフ美術館はもともとトレチャコフさんが個人で集めていたものを公開したのが始まりで、ロシアの芸術家の作品ばかりが展示されている。

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入館料は先生たちがかなり頑張って学割を適用しようとしてくれたのだけどかなわず、500ルーブル(1000円ぐらい)払った。学割がきけば400円で入れたらしい、今思えば全然1000円の価値はあった。写真を撮るのには追加でそういう券を買わないとダメなんだけど、携帯電話はフラッシュをたかないならオーケーだったのでよくわからない。(宇宙飛行士博物館もそんなかんじだった)

 

  外観はこじんまりとしてるんだけど中は迷路でかなり歩き回った。

 

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   ↓授業で習った有名な作品、日本語にしたら「格差婚」という感じかな。お金持ちの年寄りに嫁ぐ悲しそうな女性はドレスが精緻な分だけ悲痛だった。

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   ↓これも何回も教科書に出てきたやつ、ロシア正教カトリックの狭間の時期の絵

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   ↓これは初めて見たのですがめちゃくちゃ引き込まれてしまった、ヴルーベリの「座るデーモン」という作品です。タッチがめちゃくちゃ好き

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   ↓言わずもがなのアイヴァゾフスキー、重たい透明のしょっぱい水

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  他にも気に入ったのがたくさんありました。肖像画が多くて、わたしは風景画の方が好きなんだけどこの辺は見入ってしまった、写真はないんですけど子供や庶民の肖像画も本当に良かった。

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  「この光・この色をわたしはよく知っている」となってしまう絵が存在してそれに出会うことをとても不思議に思う。写実性とかではなくて、「まさにこの光・この色でなくては」と思わせる力。

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   この象牙色!

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   ↓ロシアにも秋があるんだよなあという当たり前のことを思った、空気が澄んでいてひんやりしている、すてき

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   ↓ここの壁がめちゃくちゃ好きだった

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  ↓ロシアの冬  

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   この青い影、朝の痛いほど冷たくて静かな空気、いちにちの始まり!

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   そしてこの日と次の日はモスクワに一緒に来ている子のお誕生日なのでみんなで集まってお誕生日会をした。大人数でやるババ抜きは単純でばかっぽくてそれなのに思わぬところで白熱したりして愛おしかった。久しぶりに芸術の触れて久しぶりの筋肉を使って感傷的になっていたというのは大いにあります。

 

  14日目

  遅起きして朝ごはんを食べて二度寝していた。ルームメイトは各々の研究をしに出かけていた。夕方になって自分の研究に手をつけたけれどロシア語は慣用句とことわざと格言が未整備でゴタゴタしていてひどい。文献をちゃんと取り寄せて日本から持ってこなかったしわ寄せがきています、明日先生に相談するぞ〜〜〜 まあできることとできないことを明確にして段取りをつけて帰れたら万々歳かなくらいの気持ちでいよう、そもそも何分ぶん発表準備しないとダメだとかをきっちり告知されたのが昨日 そんなバカなことがあるかよ

  晩ごはんには お米を!!食べました!!!  非常食の乾燥したお米で、水でもお湯でも戻るというやつなんですけど、完璧にカピカピのお米がしっかり戻っていてすごかった。ふりかけ、君はなんて美味しいんだ......

 

 

  それではおやすみなさい。ロシアにきて2週間が経ってしまった……!