映画いろいろ
Instagramに散文駄文を撒き散らしがちなのはもう会員登録したその瞬間からの悪癖なのだけれど、ブログを始めても治らないとは思っていなかった。特に映画の感想というか雑感もろもろ。なんというか、適当なことを書いても許される気がするのかな、ブログに書こうと思ったらけっこう肩肘を張ってしまうというか、「良い文章」を書きたくなってしまう。
そもそも考察があんまり好きじゃない。もちろんそういう楽しみ方があるのは理解しているし、よい考察やそれに耐えうる強度を持った映画というのは美しいし魅力的だと思う。だけど、それはあくまで二次三次のもので やっぱり一次的な感動とか感じ方ってめちゃくちゃ大事だと思っていて、だから、映画を観て、その後の放心状態のままとにかく文章を書き散らして、Instagramにぶん投げてしまうんだろうなと想像する。
ところでわたしは誤解をめちゃくちゃ恐れる人間なので言葉を尽くしておきたいのだけれど、後から思い返して鳥肌が立つような映画の存在をわたしはよく知っているし、思考をきちんとわかりやすく整理して誰かに伝えたいと考えてエントリをしたこともある。二次的三次的に納得がいかない作品だったとしても 観ている最中や直後の感動は本物なんだよということが言いたくて、つまり、それとこれとは別 ということです。
それで、ブログという媒体を用いた映画の感想とか考察って二次的三次的なものが多いように思うのですけど、わたしがブログに映画のことを書くときは一次的な感情をもとにして書きたいな、と思ったのでした。とりあえず最近の良かったやつのことを書きます。前置きが長い。!
ハートストーン
わたしは感情や状況の整理を言語で行うタイプなのですけどそういうのが全然できなかった エンドロールで訳がわからないまま 何も言語化できずに滲むように涙が出てきてちょっと新しい体験でした 彫刻みたいな北欧の男の子すごくよかったし映像に暗喩がたくさんあって詩的だった 残酷なように思えるけど なんというか 生まれ育ったところだけが世界ではない ということをわたしはもう知っているので 希望のある終わりだったと思う
ちょっとどころかけっこう妙ちきりんな世界線の話なんですけど、そういうところで普通に生活している普通の人たちの普通じゃない瞬間を集めたような映画でした だからこそリアリティがあるし、こういう瞬間のことを 宝物 とか かけがえのない とかいうのかな、と思った ああいう曇りの多い静かで乾燥したちょっと寒い土地に住みたい
x+y
「自閉症スペクトラムをもっている主人公が、ハンディキャップをもちながらも飛び抜けた才能によって周囲の鼻をあかしたり親孝行したりする物語」で終わっていないところがすごく良かった、これってめちゃくちゃ革命的で新しいのでは、と思いました 才能があるからってその道で生きていかなくてはならないわけではない、どういう風に生きるか、何を大切に思うかは自分で選んでいいし是非そうすべきだ、そうあるべきだ、という話 信頼関係というか、愛がなければ絶対に成り立たない物語だし、うっとりするシーンがたくさんあった エイサ・バタフィールドの目と泣くみたいに笑う母親 giftedの呪い 最後の5分が本当にめちゃくちゃいいです (邦題は「僕と世界の方程式」)
KILL YOUR DARLINGS
『愛するものこそ葬り去れ』
これがビートジェネレーション……と思った これ実話なんですよね、震えてしまう デイン・デハーンとラドクリフとの邂逅のシーンがめちゃくちゃいい ぜんぶ承知の上でゆるやかに破滅的、パリピとの違いはぜんぶ承知の上でというところなんですけど 自殺ごっこして生まれ変わったり 妙なドラッグをキメて文字通り走りながら執筆したりする
わたしもブルジョワでインテリで不機嫌な顔が似合う文学青年をやりたかった
グッバイ、サマー
すれた若者なのでロードムービーを観るのってけっこう勇気がいるんですけど観てよかった 儀式がたくさんあってすてきでした してもない腕時計の時間をふたりで合わせる、ベッドで寝ている母親の横にとびこんで「死ぬのが怖い」とだけこぼす、誰もきていない展覧会で人ごみを演じる
まさにいま目の前にいるひとりの心を軽くする正しい儀式を正しいやり方でおちゃめにやってのける人、いますよね そうなりたいな しかしそれが機能不全な家庭に起因するならこれ以上に切ないことってない そういうのも合わせて いい映画だった オドレイ・トゥトゥが母親役をやっててウォーとなりました
胸騒ぎの恋人
恋愛というか 片思いの気まずいところ しんどいところ あとはなんていうか なんていったらいいのかなあ あの べつになにも頑張ってないけどみんながその人に惹かれてしまう、自分の存在が最短距離で肯定される星のもとに生まれている、みんなが勝手にしたてに出てしまう、その他大勢が山ほどいる、そして奇跡的にド近眼 そういう人に恋する気持ちというか まあこれは天使みたいな男に恋する男女の話なんですけど、結局 いい歳して無邪気なのは最悪で罪深くて暴力的という話にもなるんだろうけどそれだけではないよナァ という感じ 言葉にできない感じがぞわぞわして気持ちいいです まあでも いい歳して天使みたいな男 めちゃくちゃ嫌な奴じゃないですか? ハイ
ドランはこの映画で 恋に落ちる過程の検証を試みたらしいんですけど、やろうとしてやりきっているのをみせつけられるともはや勘弁してくれという気持ちにしかならない これは自意識が過剰なのですけど、ドランの映画のこと 悉く わたしのための映画のように思ってしまう わたしは 所謂天使みたいな男と 所謂大親友になってしまいがちで とりあえずちゃんと正しく失恋しよう…と思いました ヒィ〜〜〜〜
とりあえずおしまいです、続きはまた今度