12日目・13日目・14日目
12日目
月曜日。ロシア語には「Понедельник — день тяжелый. 」(月曜日は重たい日)ということわざがある。つまり「月曜日は憂鬱だね」ということなんだけれど、今週の月曜日はそんなに重たくなかった。生活のリズムがつかめてきたのかな、日本でもつかめていないというのに。わはは。授業ではロシアの著名人についてのテキストを読んだ。途中でシャラポワになりきってロシア語のインタビューに答えるという遊びがあって面白かった。「好きな日本食は餃子です。ペリメニに似ているから」「テニス、それは人生」
毎週水曜日が課題研究にあてられていて授業がないので、毎週火曜日はお酒を飲むことになったらしい。その買い出しにスーパーへ行って、自分用にカップラーメンやじゃがいものピューレを買って帰った。こちらに来てから晩ごはんはカップラーメンがめちゃくちゃ多い。50円ぐらいで味の薄いものが買えるのでそれに日本から持ってきた醤油をたらして食べる。こんなに楽でそこそこ美味しくて安かったらそりゃ全世界で売れまくるわなという感じ。寮と聞いていたので自炊する気満々で調理器具も何かと持ってきたのに蓋を開けてみたらホテル泊でなすすべがない。規則正しい生活とプラマイちょっとマイという感じです。それと関係あるのかわからないけれどついにめちゃくちゃに体調を崩した。喉と鼻と頭と関節がおかしい。ウウウ
13日目
火曜日。体調は悪化しているような良くなったような。2枚のマスクに濡れティッシュを挟んで寝たので喉はかなりマシになった。ロシアでは外でマスクをしてると変態と思われるらしい。ひえ
授業ではロシアの芸術について。こちらの人々はかなり芸術に関する素養を持っている。ロシアの文学者、画家、作曲家、詩人についてきちんと学校でやるのだそうだ。またいつものパターンで「日本で有名な日本画家は?」に困ってしまった。わたしは東山魁夷のことを教科書で読んでかなり好きですが誰も知らなかった、雪舟や国芳ということで落ち着きました。
名前の由来のことも聞かれた。漢字そのものに意味があってそれを組み合わせて願いや意味を込めて名前をつけるなんてかなり独特な文化だと言っていて驚いた。わたしの名前はかなりオーソドックスな響きに漢文からとった大仰な意味があるので説明にだいぶ困った。頑張りました。
授業の後はメトロに乗ってトレチャコフ美術館へ。ロシアには多分世界的に有名な美術館が2つあって、ひとつはエルミタージュ美術館 もうひとつがトレチャコフ美術館だ。エルミタージュはサンクトペテルブルクにあり、ロシアの皇帝がヨーロッパ各地から集めた絵画や彫刻が展示されている。(余談だけれどサンクトペテルブルクはかつてのロシアの首都で、だからモスクワとは大阪と東京みたいな関係なんだそうだ) トレチャコフ美術館はもともとトレチャコフさんが個人で集めていたものを公開したのが始まりで、ロシアの芸術家の作品ばかりが展示されている。
入館料は先生たちがかなり頑張って学割を適用しようとしてくれたのだけどかなわず、500ルーブル(1000円ぐらい)払った。学割がきけば400円で入れたらしい、今思えば全然1000円の価値はあった。写真を撮るのには追加でそういう券を買わないとダメなんだけど、携帯電話はフラッシュをたかないならオーケーだったのでよくわからない。(宇宙飛行士博物館もそんなかんじだった)
外観はこじんまりとしてるんだけど中は迷路でかなり歩き回った。
↓授業で習った有名な作品、日本語にしたら「格差婚」という感じかな。お金持ちの年寄りに嫁ぐ悲しそうな女性はドレスが精緻な分だけ悲痛だった。
↓これも何回も教科書に出てきたやつ、ロシア正教とカトリックの狭間の時期の絵
↓これは初めて見たのですがめちゃくちゃ引き込まれてしまった、ヴルーベリの「座るデーモン」という作品です。タッチがめちゃくちゃ好き
↓言わずもがなのアイヴァゾフスキー、重たい透明のしょっぱい水
他にも気に入ったのがたくさんありました。肖像画が多くて、わたしは風景画の方が好きなんだけどこの辺は見入ってしまった、写真はないんですけど子供や庶民の肖像画も本当に良かった。
「この光・この色をわたしはよく知っている」となってしまう絵が存在してそれに出会うことをとても不思議に思う。写実性とかではなくて、「まさにこの光・この色でなくては」と思わせる力。
この象牙色!
↓ロシアにも秋があるんだよなあという当たり前のことを思った、空気が澄んでいてひんやりしている、すてき
↓ここの壁がめちゃくちゃ好きだった
↓ロシアの冬
この青い影、朝の痛いほど冷たくて静かな空気、いちにちの始まり!
そしてこの日と次の日はモスクワに一緒に来ている子のお誕生日なのでみんなで集まってお誕生日会をした。大人数でやるババ抜きは単純でばかっぽくてそれなのに思わぬところで白熱したりして愛おしかった。久しぶりに芸術の触れて久しぶりの筋肉を使って感傷的になっていたというのは大いにあります。
14日目
遅起きして朝ごはんを食べて二度寝していた。ルームメイトは各々の研究をしに出かけていた。夕方になって自分の研究に手をつけたけれどロシア語は慣用句とことわざと格言が未整備でゴタゴタしていてひどい。文献をちゃんと取り寄せて日本から持ってこなかったしわ寄せがきています、明日先生に相談するぞ〜〜〜 まあできることとできないことを明確にして段取りをつけて帰れたら万々歳かなくらいの気持ちでいよう、そもそも何分ぶん発表準備しないとダメだとかをきっちり告知されたのが昨日 そんなバカなことがあるかよ
晩ごはんには お米を!!食べました!!! 非常食の乾燥したお米で、水でもお湯でも戻るというやつなんですけど、完璧にカピカピのお米がしっかり戻っていてすごかった。ふりかけ、君はなんて美味しいんだ......
それではおやすみなさい。ロシアにきて2週間が経ってしまった……!
9日目・10日目・11日目
9日目
朝から授業、ロシアの宗教について。日本のことを聞かれると少し困ってしまった、「別に何も信じていない」というと、「ああ、無神論者ね」と言われるのだけど、無神論者は何も信じないということを自分で選んでいるけど日本人の多くは選ぶ機会がなくて もしくは選ぶ意思がなくて何も信じていないような気がするから。輪廻転生や「ブッダはどこにいるか?」みたいなことを説明するのも難しかった。毎度のことだけど自分の国のことをもっとちゃんと知る必要がある。
3限目は課題研究の話だった。わたしは身体語彙を含む慣用句の日露比較をテーマに選んでいるのだけど、そのテーマを選んだ理由から研究方法から全てロシア語で説明しなくてはならなくてめちゃくちゃ頭を使った。「どうして比較したいのか?」という質問に対して「わたしは本来日本語専攻で...」みたいなことを上手く言えたので嬉しい。日本語の慣用句みたいにロシア語でも「手をあげる」で「叩く」という意味が出るという話題で盛り上がった。
放課後はまた遠足。バスと路面電車を乗り継いでクレムリンや赤の広場や記念碑を見て建設の経緯を聞いたり、展望台に行ったりした。こちらに来てから9日間、けっこう慣れたつもりではいるけれど、日本の街並みとモスクワの街並みは本当に全然違っていて、それを空から見れるのは面白い体験だった。
夜は男女みんなで集まって人狼ゲームをした。ルールを全然わかっていなかったのだけどガチンコの男の子たちに教えてもらいながらアホみたいに安いウォッカをアホみたいに飲んで楽しかった。仲が深まったのではないか!イェイ ハワイくんもモスクワに来ているのだけど、いつの間にか彼とは「相棒」と呼び合う仲になった。相棒て。妙に率直で繊細で鈍感な彼はすごく楽しい。
↓ハワイくんとの馴れ初め
10日目
この日はモスクワ生誕870周年のお祭りだった。
プロモーションビデオがめちゃくちゃイケている(英語版)
中心部の大通りは歩行者天国になり、ボクシングリングや街の模型やサッカーコートやライブステージが現れてご機嫌な1日だった。
МГУ(モスクワ国立大学)の模型の前でがり勉をテーマに踊る若者たち、たぶんほんとにそこの生徒なんじゃないだろうか。
ボリショイ劇場からバレリーナやオペラ歌手、オーケストラが来ていて同じ舞台で入れ替わり立ち替わり演目が披露されていたのは圧巻というか、ロシアだから、モスクワだからできる体験という感じで鳥肌が立った。文化的祝宴!今度劇場に白鳥の湖を見に行くので楽しみ。
ライブをしていたМая Мишель(マヤ ミシェリ)というバンドに一聴き惚れしてしまった。リンクはただ君がそばにいれば私はめちゃくちゃ大丈夫、という曲なんだけどタイトルが「暗い路地」なので色々聞き逃してそう、ちゃんと翻訳してみたいな。曲はかわいいんだけどパフォーマンスが本当にかっこよかった、椎名林檎の凄みがありました。
11日目
今日は朝からベルニサージュ市場というお土産やさんがたくさんあるところへ行った。どうしてなのかはわからないけれどアルバート通り(モスクワのメインストリーム)のお土産やさんの三分の一くらいの値段でさまざまが売っている。古いカメラがたくさん売っていて羨ましかった。詳しかったら絶対に欲しい......!
わたしはピンバッジとマトリョーシカを買いました。ピンバッジは7こで650ルーブル、1300円くらいかな、ハチャメチャに安い。日本でロシア雑貨店を開いて高く売ろうかな、わはは。柔道着を着ているくまはミーシャという名前で、モスクワオリンピックのキャラクターだったらしく、お値段もちょっと高め。
ロシア語で受け答えしていたら「ここで(ロシアで)ロシア語を勉強しているのか?上手に話すからそうかと思って!」と店主に言ってもらって飛び上がる気持ちだった。全然上手じゃないけど、そういえばロシア人とロシア語で話すことに対してのハードルはだいぶ下がったなと思う。収穫だし、問題なくロシア語で買い物できているのが嬉しかった。ファストフード店は最悪だけど...... (サブウェイで「お肉を......」と言うと「どのお肉かわかりません。見たらわかるでしょうけどたくさん種類がああるので」とロシア語でまくし立てられる、日本で同じようなことがあるかしら、ないですよね、非常にびっくりした) まあ市場の人たちはトークで商売しているようなものだし、伝えようとして話すし 聞こうとして聞いてくれている というのは非常に大きいだろうな。
マトリョーシカ!これは自分用です、めちゃくちゃ安い類なんだけど表情に愛着がわいてしまって、あと白地に青の模様も爽やかでお上品で買ってしまった。最後らへんの顔が最高です。マトリョーシカはプリントの量産型だったり中のピースの数が少なかったりすると大体200円ぐらいから買うことができます。アーティストがしっかり書いたやつは7000円とか、まあ高いのはどこまでも高いのですけど、1体ずつ顔も全然違うので愛着を持てるやつを持つのがいいと思います。お土産用にもう3体買ったけど情がわいてしまってめちゃくちゃ手放しがたい。
これはいとこの子ども用
この3日間はこんな感じでした。昨日から喉を痛めてしまってつらい。風邪薬を一応飲んだけどなんとふた粒しか持ってきていなかった。ロキソニンならたくさんあるんですけどなんか効果あるのでしょうか、暖かくしてマスクをして寝ます。おやすみなさい。
7日目・8日目
2時間ぐらいだらだら書いていたんですが、公開ボタンを押したらホテルのWi-Fiのログイン画面に飛んでしまって復元方法もわからず途方に暮れています、ウウウ
水曜日は授業はお休み、プログラム上は課題研究をすることになっているんですが今週はモスクワ大学でロシア語を専攻しているロシア人学生たちと交流会がありました。わたしは日本語を専攻している日本人学生なので彼女たちと話す機会がもてたのは幸運なことでした。「日本人なのに日本語を専攻するってどういうこと?」とよく聞かれるのですけどあんまりしっかり簡潔に話せないので、将来のビジョンや信念を持って勉強している彼女たちのことが眩しかった。インタビュー形式の交流会の中でどんな文学や音楽が好きか尋ねると みんな口を揃えて「19、20世紀のものが好き、最近のやつは嫌」といっていたのが興味深かった。こちらには飛び級制度があり、同い年で卒論に取り掛かっている生徒もいました。ヒョワー
交流会のあとはまたショッピングモールに行ったのですが、そこのフードコートで日本語を勉強しているロシア人と出会いました。毎週水曜日と土曜日に日本人とロシア人の集会があるらしく、参加者と間違えられたらしかった。彼らはやっぱり動機としてアニメや漫画を挙げてくれるのだけど本当に全部わからなくってめちゃくちゃ申し訳なかった。大きいパーティーに誘われたけど迷っています、タイやミャンマーで経験したことだし、タイやミャンマーまで行ってそれでも「なんか違うな」と思った分野のことなので...... 世間話から飲酒への移行のスムーズさと奢り方のスマートさがすごかった、メドブーハと言う蜂蜜を発酵させたお酒をご馳走になりました、美味しかった。
今日は普通に学校があり、ロシアの食文化について学びました。朝ごはんには3段階あるだとか料理の名前だとかおいしい付け合わせだとか、実践的で楽しかったです。ロシアでは家で寿司を作ることが多いらしく日本ではそうでないと聞いて驚いていた、「米の上に魚を置いたら出来上がり、簡単でしょう?」 日本では寿司職人は学校に行ったり何年も修行をすると話すと理解できない、といような反応だった、握りの概念だとか細かいところにこそ神経を使う文化があんまりないのかもしれない。当たり前ですが毎日が異文化交流で大変刺激的です。
学校が終わったら先生たちと一緒にスーパーマーケットに行って食材や食文化のおさらいをしました。通り雨がきていて、傘を持っていない男の子を入れてあげていたら先生に「男性が傘を持ちなさい、そういうものでしょう?」と言われて なんというか ヨーロッパに来た!と実感しました。ロシア語専攻の男の子たちはなんというかちょっとかっこつけで真面目で変な人が多くて まだ距離感はあんまりよくわからないけれど楽しい。
店内では「これが一番美味しい」「いや、こっちの方が美味しい」「ふむ、そっちもアリね......」など、先生たちが楽しそうだった。お酒を3瓶買ったのだけど400円とかで、そりゃ酒呑み国家になりますわなという感じ。そういえばロシア人はピクルスの瓶に残った液体を余すことなく飲み干すらしい、アルコールが濃くて美味しいんだって、貪欲!お酒を買う時にはパスポートの提示を求められるのですが店員はめちゃくちゃ疑わしげ、20歳なのを知るとウワ、みたいな顔をされます。やっぱり幼く見えるのだろうな。
今日は時間があったので書きたいことがたくさんあったのに帰宅即昏々と眠っていました、ウワーーーー
水曜日のフードコートの途中もけっこう精神的にしんどくて、なぜなのかあんまり言語化できないんだけど、笑うのに疲れたというか、面白くないことには笑わないし興味のない話題には入らない、つまり 自分のペースを守る みたいなことがあんまりできていない。それは多分 何度かロシアに来たことがあって様々に詳しい子のいいとこどりをしようとしているからだと思う。というかわたしは普段良くも悪くも自分に自信があるんだろうな、自分のやりたいことを自分でわかっているしそれを自分でやり遂げることもできる。だから周りが何をしていようが全然気にならない。だけど今は情報が欲しいから無視もできず どこかへ行くならついて行ったほうが楽 それでいてこの人たちと一緒にいるのはちょっとめんどくさいなんて最悪の最悪じゃないですか、中途半端で自分で自分が嫌になるな、ひとりで来た方がよっぽど良かった。ロシア語のことで悩みたい。そういえばケンタッキーで全然ちゃんと注文できなくて サイズの違うポテト2個とチキンが出てきて落ち込んだなあ。
でもまあなんというか「詳しい人」ってやっぱりどこか得意げじゃないですか、そういうのに付き合ってあげるのに疲れてしまったな、ある女の子が換金レートで損した女の子に「それ損してるんだよ、残念だったね、私はこうしたからこれだけ得してるけどね」ってわざわざ言いに行ってるのを見てどんびいてしまった。他人の発言機会を奪ったり自分の要求だけはしっかり通したりするところは見てるだけで何かが消耗してしまう。コインランドリーの場所を、わたしたちは受付に尋ねて知っていたのだけど、わざわざ調べて部屋まで教えに来てくれた男の子のことを「え、うん、知ってる〜」の一言で追い返してしまえる不遜さに耐えられない。「わざわざありがとう、受付の人はここにもあるって言ってたよ」ではダメなのか、生きるのが下手な人の近くにいるのって疲れるんだな、一人暮らししたことないけど集団で生活したこともないんだということにハッとする。あと気づいたんですけどただ単に顔が好きじゃない、合う合わないはありますよね、しょうがないな。
「映画や小説において自分は感情がおそい」と話す友人のことを なるほどなと思いながら不思議に眺めていたんですけど、どうやらわたしは頭がついてくるのがおそい、頭が悪いのか敏感すぎるのか忙しくて余裕がないだけなのかはわからないけれど 気持ちだけが先に来てしまうのは宙に浮いている感じがしてかなりしんどい。うまいことチューニングしなければなと思う。
とはいえここ2日ぐらいで登下校中に本を読んだり部屋に他に人がいるときにイヤフォンで音楽を聴けるようになったので取り戻しつつある、生きるのが下手なのはわたしです
言文一致ではちゃめちゃな文章を書いてしまって反省している、今週末はちょっと一人になる時間をとります、おやすみなさい
6日目・雨、生活と旅
昨日は朝から雨だった。晴れている時は少し汗ばむくらいで、風は冷たく空が青くて 建物たちの輪郭がはっきりしてそれはそれは美しいのだけど、雨が降って太陽か隠れてしまうと途端に寒くて寒くて「ロシアっぽい......!」と歯をガタガタ鳴らしながら興奮した。18℃てで書いてあるけど絶対に嘘、日本の18℃はもっと暑い、日本がおかしいのかな、そうなんだろうな。緯度や町並みで気温の感じ方がこうも変わるのは不思議な気持ちだ。
ロシアでは9月は雨季なんだけれど、日本に傘を置いてきてしまっていたのでダメだった。学校は普通にあるのでとりあえず濡れながら登校した。学校へはバスと路面電車を乗り継いで行く。初日に買ったカードがあれば地下鉄もバスも路面電車もタッチするだけで利用することができる。雨なので混雑していたけれど登校にも慣れてきた。
昨日から始まった6人での授業だけど、今日は4人だった。男の子がふたり来ていなくて、ひとりは腹痛、もうひとりはモンスターハンター?をやっているらしい。今日も語彙をやって モスクワの歴史に関するテキストを読んだ。
「あなたの故郷でオススメの場所は?」とか、「あなたの故郷は何年前に誰が設立したの?」みたいなことをたくさん聞かれて、ロシア語以前に自分の住む町のことを全然知らないなあと少し反省した。そういえば学生証が届きました、ウレシイ
授業が終わった後は本当はエクスカーションがあるはずだったんだけど、天気が悪すぎて中止になり(ボスは「これがモスクワの天気だ!」と陽気だった)、女の子たちと こちらですごくメジャーな喫茶店を冷やかして、傘とお酒とパンとお菓子を買って ついでに換金もして帰宅した。帰りのバスから降りる時に多分おばさんに財布をすられてしまった。中には800円分ぐらいの現金しか入っていなかったのだけど、出発前にお母さんに買ってもらった財布だったのでショックだ。ショルダーバックの中に入れていて、チャックも閉めていたはずなのにどうして、と思う。もう少し気を引き締めなくてはな。
夕食は女子6人で酒盛りだった。視聴率ゼロでめちゃくちゃ飲んでしまってしたたか酔っ払った。各自好きな音楽をかけながら持ち寄った食べ物をつまんで、楽しい夜だったな! 酔った女の子と普段からデリカシーも情緒もない男の子のツイッター上での絡みが地獄だった。なんというか、致命的に面白くない自虐に他人を巻き込んで誰も幸せにならないやつをやって責任も取らない人って、いますよね、違う世界の人だ......と思って過ごしているけれど、違う世界と交わらずに生きていけるわけもない。ウウウ
さて、わたしのこの滞在は旅とは少し違う。わたしはここに、生活をしに来ている。旅というのは、自分が主役で、自分の目的(例えば 赤の広場を見たい、ボルシチを食べたい、マトリョーシカを買いたい、など)を果たすためのもので、非日常的なものだ。日常的なこと、たとえばお風呂に入ることやスーパーに行くことは旅のための手段でしかない。わたしがここでいう 生活 というのは、その土地に住んでいる人々を主役に据えて 彼らの日常を覗き見させてもらうこと、自分をその中に紛れ込ませることだ。
寒さで鼻を真っ赤にして だけど微笑みを浮かべながら路面電車を待つ優美な人、祈りみたいに晴天柄の傘をさす針金みたいな女性、傘なんかささないでまっすぐに立つ若者、彼の周りだけ雨が避けているようだった、曇った窓ガラスを丁寧に人差し指でぬぐって外に目をこらすご老人、もう二度と会うことのない、たとえすれ違ってもそうだとはわからない匿名の人々。そういうひとたちに それでも一度出会ってみること、そういう人たちの中で毎日を過ごしてみること。
もちろん、どちらの方がいいとか、そういう話をしているのではない。だけど、観光地で観光客向けの名物料理を食べるより、学食のよくわからない安い料理をこちらの学生と同じように食べて、晴れた日には大学の前の広場で分厚い本を読みたい。同じパン 同じ本でも 何か違うところがあるはずだし、同時に何か同じところがあるはずで、今のわたしはそういうものを求めている。骨の折れることかもしれないけれどとても刺激的な経験になるだろうと期待している。とはいえちゃっかりひと通りは観光地行ったんですけどね。ワハ 生きるぞ!
5日目と家族のこと
今日は月曜日、ただいまの時刻は20:47です、こんばんは。今日から本格的に学校が始まりました。今日から少人数のクラスで、先生はカーチャからサーシャに変わりました。サーシャの本名はアレクサンドラで、落ち着いていて素朴な感じのカーチャとは違って髪の毛先は水色だしメイクも彫りの深さを活かしたしっかりした感じ、カーチャがお姉さんならサーシャは気のいいお姉ちゃんという雰囲気、めちゃくちゃ質問をしてくれるし反応もいい、感情表現豊かでノンバーバルなひきだしがすごく多い。授業の雰囲気がすごく良くてとても楽しかった。
今日の授業はたくさんの語彙とちょっとしたテキスト、家族について話して、友達同士で使う慣用句についてのスキットをしたのですが、「今 完璧にこの人の話しているロシア語がわかる!」という瞬間がけっこう何度もあって、まあ日本での授業よりも初歩的なことをやっているので当たり前といえばそうなんだけど、進歩を感じて嬉しくなったし、同時にめちゃくちゃ変な気持ちになりました。耳と頭が一致しないというか、「この響き わけのわからない音の連なりの意味を 考えるよりも先にわかってしまうのすごくないか!!?」という感じ。
それで、家族についてなんですけど、言語学習の初期において家族の話題というのはめちゃくちゃよく出てくるもので、その度に何を申告していいものか迷ってしまうんですよね。家族は誰にでも存在するものだという前提があるので話題にしやすいんだろう とは理解しているんですけど、みんながいわゆる 普通の家族 の話をしている時に、わたしは何を言えばいいんだろう?どこまで虚偽の申請をすればいいんだろう?となってしまう。戸籍通り現実の通りに話せば、わたしの家族の話は父の話だけで終わってしまうし、それについて授業で話せば クラスのみんなが わたしの家庭が複雑であることをわかってしまう。わたし自身に自分の家族のことをカミングアウトする意思があるかないかに関係なく全員に知られてしまうのは けっこう暴力的だと思うし アウティングというやつでは......という気持ちになる。だからって同じ家に母も父の妹も住んでいることにして話してしまうのは 今までの自分としんどさとか葛藤みたいな何やかやをないがしろにしているみたいであんまりやりたくないし、そもそも「お母さんは暇な時間に何をしていますか?」と尋ねられても「知りません」としか答えられない。
日本では家族のこみいったことなんかはあんまり聞かないし聞かれるまで話さないし、自分から話すのは信頼の置ける人に限定されている。多分外国では日本よりもずいぶん離婚率も高いし婚外子やひとり親も多いのだろう。その分 子供達も折り合いをつけやすくて、わたしみたいに ハタチ直前になってようやくちゃんと親に感謝できるようになる みたいな事態も少ないのかな、と想像する。だから家族について尋ねられれば迷いなく答えられるのは当たり前で、むしろいちばん当たり障りのない話題とされているのだろうな。
どうしてこんな話をしているかというと、今日の授業で「自分の家族について原稿を作って話す」という課題があったからです。こういう課題は大学で1年目の初めに散々やったのだけど、2年目も半分を過ぎた今回は、自分の言いたいことや事実を過不足なくサクッとロシア語にまとめることができて、うーん、なんというか、本当に、自分で自分に救われてしまいました。「ここまで言えれば全然しんどくないな」と思えたし、ここまで自力で辿り着いた自分が誇らしかった。多分わたしはもうこの話題で悩まないだろうな、と感じていて、それってたぶん思いの外最高なことではないでしょうか。やったぜ。
あとはサーシャが言っていたことで、「日本人はペットのことは家族に入れて語るのに祖父母のことは語らない、ロシア人は必ず祖父母の話をする」というのが「核家族だ!!!」となって面白かったです。文化の違いだな〜〜
そして授業が終わってからなんとなく女子のグループについて行ったら駅を間違えまくった挙句もういっかい赤の広場に行くことになってしまってめちゃくちゃくたびれてしまった。ノーと言わなければならない、その能力が減退しているのをひしひしと感じます。でも昨日のしんどいしんどいは少しマシになった、たぶん。
追伸・お金のことと友達のこと、生活と旅についてを書きたい、これは備忘です、だらだら書いていたら22:40とかになってしまった、おやすみなさい。
関連記事:家族のこととかが書いてあった気がします
3日目・4日目
学校が始まってすぐですが土日はお休みです。せっかくなので土曜日はモスクワのいわゆる観光地を巡りました。
赤の広場は人がいっぱい、ロシア人もたくさんいて、日本でいう奈良の大仏みたいな感じなのかなあと思ったりしました。細かい装飾が淡いピンクと水色で施されていてほんとうに綺麗で可愛らしかった。ロシアのデザインはおもちゃみたいですっとぼけていて だけど精密で 愛着を持たずにはいられない。楽しかったです。
またしてもアイスクリーム。ура!!! мороженое! というのは「ヤッター!!!アイスクリーム!」という感じかな、観光地なので割高なのですが買ってしまいました。
そのあとは宇宙飛行士博物館へ。学生は500円で入れます。宇宙飛行士の私物や宇宙船の設計図、実際に宇宙から帰ってきた宇宙船まで、本当に貴重なものをたくさん見ました。もう少しロシア語が読めてらもっと面白かっただろうな。英語に安心感を覚えるという体験をこっちに来てからけっこうしていて面白いです。だけど、少しでもまごつくとパッと英語に切り替えられるのは悔しい。そりゃロシア語話せる人種には見えないでしょうけども、話したい意志を見せないとな、ウーム。
モニュメントとロゴが本当に素敵、お土産がふざけているのも良かったです。
道端にメリーゴーランドがあってびっくりした。そのために来たようなものなのですがこっちに来てびっくりしてばっかりです。
4日目・日曜日はゆっくり休もうということになって、昼からショッピングモールへ行ってスタバやマクドナルド、H&MやZARAを覗いたりしました。スタバは食事のメニューに甘味というか、ケーキが多いのと来店時にきちんと挨拶を交わすこと、注文したら名前を聞かれることが面白かったかな、あとは自分が済ませた食事の容器は自分では片付けない。フードコートでもそれ専用の従業員がいました。「注文したクロワッサンをまだ受け取ってないんですけど」「もう少し待ってください」という会話をロシア語でスムーズにできて嬉しかったけど、とりあえず入門の単語帳をこの滞在中に仕上げてしまいたい。自分の話せなさに愕然とすることがあるけれど大抵は単語がわかれば大丈夫なはずなので頑張りたいな。
さて、ロシアで4日を過ごしてみてなんですが、他人と同室でどこへ行くにしても誰かと一緒、という状況がだんだん堪えてきていて 謎の落ち込みに見舞われたりしています。部屋は3人部屋で、一番プライバシーの確保ができる場所のベッドを選んだのですが、そしたら今度はなんと、さみしいんですよね。同室の他の2人には共通の話題がたくさんあって、土曜日も2人でオペラを観に行っていて 日曜日も別行動で、勝手に疎外されている気持ちになる。これは絶対にいわゆる 思いの外大丈夫なやつ なんですけど、こじらせてしまった挙句 冷たくされてるとか侮られていると感じてしまう場面が多くあり、この人と一緒にいるのしんどいよ〜〜〜となってしまっています。あとはわたしは引きこもって考え事をしたり本を読んだり勉強するのもかなり大好きなんですけど、周りがけっこう激しく観光気分であっち行きたいこっち行きたい、となってるのがしんどいのかな、別に行きたくなきゃ部屋にいればいいし行きたくなったら一人で行けばいいし行ったら行ったで楽しいのにね。自分を強く持って自分の過ごしたいように過ごせるといいな、この落ち込みの感じは人生で何回か経験があって ちょっとまずいかもな、と感じているのであんまり軽視しないでご自愛しようと思います。妙なところが真人間なせいで一人でいる時じゃないとちゃんと落ち込めない、落ち込みの発露がすごく苦手、そこまでまだ誰のことも信用できていないそれが一番しんどい、ウウウウウ。ロシア語よりも先に集団生活に躓いているのがなんともわたしらしいな。明日からはまた学校です、あんまり無理しないぞ、ハイ、おやすみなさい。
2日目
学校が始まりました。9月1日はこちらでは学校が始まる祝日みたいな感じで、花束を持って歩いている人がたくさんいました。先生に贈るのが慣習だそう。驚くことにロシアには24時間営業の花屋さんがめちゃくちゃたくさんいたるところにあります。コンビニエンスストアのようなものはほとんど見かけないので不思議な感じです。
さて私の学校はというと、初級の初級のロシア語をめちゃくちゃ実践するという感じ、先生の名前はカーチャ、エカテリーナのことを短くするとカーチャになります。若くて笑顔が素敵でお茶目でかわいい、ただしスパルタ。理にかなったスパルタのことをとても好ましく思う。 90分の授業が1日に3コマあり、10:00から15:30まで。日本では1週間に6コマ ロシア語の授業があるので、そう考えるとすごい密度なんだなというのがわかります。少人数なのでめちゃくちゃあたる、ほんとうは今日のさらに半分の人数でやることになるとのこと、まだいろいろ考えないと喋れないので緊張します。カーチャの 相手に伝えよう、わかってもらおうとして話されるロシア語はめちゃくちゃわかりやすくて、日本でわたしが受けている全編ロシア語の授業の先生も実はすごく気を使って話してくれているんだな、とか、ロシア人が話す普通のロシア語の聞き取れなさに落ち込むなあ、とか、いろいろ考えました。
授業の後は旧 アルバート通りへ。昨日の 新アルバート通りとは違って石畳の道に石の建物ばかりだった。とっても可愛い!
ロシアではアイスクリームがとても愛されていて、道端に屋台が出ていて簡単に購入することができる。濃厚で美味しい、毎日食べてしまっている
似顔絵描きやバイオリン奏者が路上にたくさんいて驚きました。観光地だけかと思いきや地下道でもたくさん見かけます。(ロシアには横断歩道が全然なく、道路の向こう側に渡りたい時は地下道を通る)特に帰りの地下道で出会ったバンドはすごかった、動画とちょっとした感想、他の写真も載せてあるので是非見てみてください
こういう文化が存在し、それに触れる機会を持てたことに激しく感動したし、こっちにこてよかったと思えました。
散々「ロシアでは」みたいな言い方をしているけど、私が滞在しているのは広いロシアの中のモスクワだけで、しかもここにもまだ2、3日しかいないのでなんだか恥ずかしくなってきました、ウワアアア。何も代表することはできないしそんなつもりも毛頭ないんだけど、まあ思い上がらずにちゃんと丁寧に過ごしたいな。ということで2日目でした。
追伸・何でもつぶさに記録していつでもとりだせるようにしたい、というには私の性なのだけども、毎日ちゃんとしなきゃ、と思うことが増えてきていて、疲れもあるし落ち着いた時間を3人部屋で作ることは結構難しいことで、これって私が思い描いてたやつじゃない、という気持ちもありつつ、記録は後付けであってそのために生活しているわけではない、とも思っていて、あんまり折り合いはついていないんだけども、まあもうちょっと気楽にやろう、この辺の違和感についてはもうちょっと深く掘り下げたいな〜 書き始めるとめちゃくちゃ楽しいんだけどな、ハイ、以上ひとりごとでした